治療行為を受けて窓口にて3割の医療費を支払った後に、医療機関側では残りの7割の請求をその患者が加入する健康保険団体に請求して、医療費の支払いは完了します。このとき、健康保険組合などに請求する医療費の権利を診療報酬債権と呼んでいます。この診療報酬債権を元手にしてファクタリングにより、より巨額の資金の借り入れを行う場合があります。ファクタリングでは、将来にわたって受け取れる診療報酬債権がいわば担保となって貸し出しを行うこととなっています。
したがあって、巨額の資金が一度に必要な場合などにファクタリングを利用しようとします。ただ、これはあくまで借金なので返済の見込みがなければ貸し出しを行いません。この貸し出しを行わないケースは、診療報酬債権ではあまり見かけられないのが実態です。なぜならば、医療費の支払い自体は医療機関があれば、一定数の患者が見込めるからです。
ただ、そうはいっても地域医療の過疎化などの問題もあって、地域によっては患者数自体が減少してきている場合もあります。その地域での過度の投資が危険だと判断されれば、ファクタリングがなされないあるいは求めていた金額よりも少ない貸し出しになることも今後はあり得る事態となるでしょう。都市部ではともかく地方では、地域の少子化と高齢化が急速に進んで人口減少に歯止めがかからなくなれば、当然ながら医療費の支払いによる医療機関収入も先細りする可能性があるからです。